分業体制からの脱却。スギ薬局アプリチームが挑んだ「サービス型チーム」への変革ストーリー
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全国に2,200店舗以上を展開し、2026年12月には創業50周年を迎えるスギ薬局グループ。そのデジタル戦略の中核を担う「スギ薬局アプリ」サービスチームは、ユーザーへより早く価値を届けるため、長年続いてきた分業体制から「サービス型チーム」へと体制を進化させました。
※サービス型チーム:役職ではなく“役割(ロール)”に基づいて仕事を分担し、短いサイクルで改善を続けながら顧客に継続的な価値提供を行う、多様な専門性を持つメンバーで構成されるチームです。プロジェクト型のように期限や固定のスコープは無く、ニーズに応じて優先順位を柔軟に変え、サービス運用後も継続して価値を高めることが特徴です。
今回はその変革をビジネスサイドからリードした足立さんと、技術と品質を支える原さんにインタビュー。変革前にあった大企業ならではの課題、チームに起きた変化、そして二人が見据える未来まで、赤裸々に語ってもらいました。
メンバー紹介
変革前のアプリ開発現場で起きていたこと
―「サービス型チーム」に移行する前、アプリ開発を進めるうえでどんな課題を感じていましたか?
@Yu Adachi:ビジネスサイドから見て特に課題だったのは、開発スピードが思うように上がらなかったこと、そして誰が最終的な判断を行うのか見えにくかった点です。当時はいわゆる“大企業らしい分業体制”がきちんと構築されていたものの、担当領域が細かく分かれていた分、関係者間の調整に時間がかかるケースも少なくありませんでした。その影響で、私自身を含め、メンバーそれぞれが主体的に動きづらい場面もあったと思います。


@Keisuke Hara:エンジニアとしても、当時の開発の進め方には難しさを感じることがありました。以前の手法はウォーターフォールでもアジャイルでもない独特なスタイルで、最初に要件定義を明確に行うのではなく、画面イメージだけが共有され、それをもとに作業を始める形でした。分業体制でそれぞれが専門性を発揮しながら進めるうえでは、視覚的に方向性を共有するこのやり方にも一定の合理性があったと思います。
一方で、関係者全員が同じ場で議論する機会はなく、各自が「多分こうだろう」と個別に進めることで、次第に方向性のズレが生まれ、手戻りが発生することもありました。こうした背景には、足立さんが話していた“オーナーシップの曖昧さ”もあったと感じています。本来であれば、最初にサービスオーナーとエンジニアが「何を作るのか」を丁寧にすり合わせるのが理想ですが、当時は明確なオーナーが設定されていなかったため、判断が後ろ倒しになりやすく、結果として非効率な進め方になっていた部分もあったかと思います。
静かに始まり、確かに動き出したチーム変革
―「サービス型チーム」へ移行した当初、現場のエンジニアから抵抗や反発はありませんでしたか?
@Keisuke Hara:特段、抵抗や反発はありませんでした。分業体制の中で「依頼されたものを形にする」という受託マインドが自然と根付いていたことが大きいと思います。その意味では、移行自体はスムーズに進みました。
ただ、サービス型チームでは「エンジニアとしては、こうした方が良い」と自ら提案していく姿勢が求められるため、ここの意識改革が必要だと感じた瞬間でもありました。
―チームが変わったことで、ビジネスサイドとして戸惑う場面はありませんでしたか?
@Yu Adachi:私はこれまで新規事業や組織運営に携わってきた経験があり慣れてはいたのですが、この会社で進めるにあたっては、私(サービスオーナー)と従来の管理職(課長・部長・本部長)との間で、責任や意思決定の分担を明確にすることに苦労しました。ただ、本部長が旗振り役となってくれたことで状況が大きく変わり、私の意向を反映しやすい環境が整って、そこからは非常に進めやすくなりました。
―そのうえで、チーム変革がうまく進んだポイントはどこだったのでしょう?
@Yu Adachi:メンバー全員が、変革前から同じような課題を感じていたことが大きかったと思います。個人では解決できなかった部分も、会社として足並みを揃えて取り組める体制になったことで一気に動き始めました。ビジネスサイドと開発サイドが横並びで同じチームに入り、日々同じテーブルで議論できるようになったことは、サービス型チームへの移行を象徴する大きな変化でしたね。

―変革が進む中で、「チームのスイッチが入った」と感じた瞬間はありましたか?
@Keisuke Hara:会社提供の研修機会として、スクラム研修に参加した時ですね。
資料にあった「導入前に起きがちな問題例」を読んだのですが、これまでの自分たちのやり方と重なる部分が多く、全員がハッとした瞬間だったと思います。あの時、「ここでしっかり変われば課題を解決できる」という希望が生まれ、チームとしてスイッチが入るきっかけになったと感じています。
チーム変革で生まれたポジティブな変化
―チーム変革を経て、どんなポジティブな変化がありましたか?
@Yu Adachi:まだ道半ばではありますが、これまで感じていた課題を解消できる「土台」がようやく整ってきたと感じています。特に、オーナーシップの所在が明確になったことは大きな変化です。これにより、チームのメンバーそれぞれがサービスを自分事として捉え、主体的に取り組めるようになりました。
また、スプリント(2週間)ごとの振り返りの場で意見を言い合える機会が増え、議論の密度が高まってきているのも良い変化です。
@Keisuke Hara:開発の進め方は、劇的に変わりました。以前の独特だった開発スタイルをやめ、正式なスクラム開発を導入したことで、開発プロセスが整いました。特にありがたいのは、タスクがスプリントに収まる小さいサイズに分解されていることです。そのおかげで、「これ本当に正しいんだっけ?」「意味のある作業なんだっけ?」といった不安がなくなり、今やるべきことに集中できるようになりました。
体制変更前は、最初に引いたスケジュールに沿って進めることが重視され、進捗そのものが目的化してしまうこともありました。今は、足立さんがプロダクトバックログに優先順位を整理してくれるため、取り組む理由や背景が明確になり、成果に向けて動きやすくなっています。これはエンジニアとして非常に嬉しい変化です。

―「チームが変わった」と実感するのはどんな時ですか?
@Keisuke Hara:以前は積み上がった案件を順に進めていく形でしたが、着手する頃には状況が変わっていて、「今取り組むべきなのか」と迷うこともありました。今は足立さんと優先順位を確認しながら進められるので、迷うことなく取り組めています。そうした場面では、「変わったな」と感じます。
@Yu Adachi:確かに、以前はそれを切り捨てる役割の人がいませんでしたね。今はチームとして横並びで議論できるようになったことで、無理に前に進めず、いったん立ち止まって見直せるようになりました。
@Keisuke Hara:足立さんが「本当に大事なのは何か」を整理してくれるので、納得感を持って開発できます。こうした進め方ができるのは、サービス型チームならではだと思います。

変革を後押しする、スギ薬局の環境と働きやすさ
―今回の変革を推進した経験は、ご自身のキャリアにどんな変化をもたらしましたか?
@Yu Adachi:この規模の会社で、サービスオーナーとして責任と裁量を持ちながらプロジェクトを動かせたことは、大きな経験になりました。単なる御用聞きではなく、経営層と対話しながら事業インパクトに関わる意思決定に携われたことは、自分のキャリアの幅を広げてくれたと思います。
@Keisuke Hara:私は、仕事を見る視点そのものが変わりました。これまでは降ってきたタスクを早く正確にこなすことが中心でしたが、今は「システム全体の品質をどう高めるか」「開発体制をどうあるべき姿にしていくか」といった、より本質的な部分を意識できるようになりました。こうした視点を持てるようになったことは、自分のキャリアにとって意味のある変化だと感じています。
―そうした経験を重ねる中で、スギ薬局の環境の良さや働きやすさを感じる場面はありましたか?
@Yu Adachi:感じる場面は多いです。まず、会社として「変化すること」を明確に打ち出しており、現場の声をしっかり聞いてくれる文化があります。トップダウンで押し付けるのではなく、執行メンバーを中心に現場の意見を尊重してくれるので、動きやすさがあります。
また、スギ薬局という会社そのものの安定感も働きやすさにつながっていると感じます。前職のカラオケチェーンではコロナ禍で売上がゼロになる経験もありましたが、ドラッグストアという生活インフラの事業は大きくぶれません。その安心感があるからこそ、長く腰を据えてチャレンジし続けることができます。

―エンジニア視点ではいかがでしょうか?
@Keisuke Hara:環境面で良いなと感じるのは、エンジニアとしての“ある程度のエゴ”が許容され、リスペクトされるようになってきたことです。以前は機能追加のような見える部分だけが評価されがちでしたが、いまは「コードの中身を作り変える」「テストを充実させる」といった内部品質への取り組みも正当に評価される文化ができてきました。また、優秀な大手パートナー企業と一緒に取り組む機会も多く、学べる場があることもありがたいです。

働きやすさの面では、出社を強制されずリモートワークができることが大きいです。必要なときには障害対応を行いますが、平常時は休みやすく、特別な繁忙期や無理のある納期もありません。定時で上がることも推奨されていて、自己学習の時間が取りやすいのも助かっています。
@Yu Adachi:最近は出社回帰の企業も多い中で、エンジニアの働き方を尊重してくれている点は、スギ薬局の良いところですよね。
“今が一番おもしろい”。スギ薬局の変革を一緒に進める未来の仲間へ
―これからチームで挑戦していきたいこと、実現したい未来像を教えてください。
@Keisuke Hara:私はとにかく、最高のシステム品質を追求していきたいです。いまはアプリだけでなく、スギ薬局のデジタルサービス基盤全体をどう良くしていくかまで視野が広がっています。ただ、それを一人で実現することはできません。これは妄想ですが、自分が頑張っている姿を見て「手伝おう」「一緒に良くしていこう」と自然と仲間が集まってくるような、そんな存在になれたらと思っています。
@Yu Adachi:私はチームとして、「このサービスを作っているのは自分たちだ」という誇りを持てる集団でありたいです。どこまで行ってもユーザー体験を中心に考え、どんな障壁があっても自分たちの意志を持って向き合い、乗り越えていけるチームでありたいですね。せっかく会社から後押しも受けていますし、しっかり成果で応えていきたいです。
―共に変革を進める仲間として、お互いのことをどう見ていますか?
@Keisuke Hara:足立さんのようなサービスオーナーは、本当にレアな存在だと思います。「やるべき仕事の取捨選択」が的確で、自分が価値を発揮すべきところに集中している。そして何より、エンジニアの意見をちゃんと聞いてくれる。サービスオーナーが暴走するとプロジェクトは終わってしまいますが、足立さんには絶対的な安心感があり、尊敬しています。


@Yu Adachi:原さんは、とにかく相談しやすい存在です。オープンでフラットにやり取りしてくれて、こちらの目線にも合わせて分かりやすく説明してくれる。包容力があって、困っている人がいたら絶対に見捨てないタイプだと思います。また、今考えていることを Slack で途中段階から共有してくれるので、思考の流れが見えやすく、こちらからも声をかけやすいのがありがたいですね。
―最後に、未来の仲間へ向けて「このチームで働く魅力」を教えてください。
@Keisuke Hara:このチームでは、サービスやシステムを良くすることにまっすぐ向き合えます。今すべきことが明確で、迷うことなく開発に打ち込めます。自分が創意工夫して形にしたものがすぐサービスに反映され、その結果に対するフィードバックもすぐ返ってくる。そうした循環の中で手応えを持って開発できる環境です。システムを良くすることに本気で向き合いたい方と、意見をぶつけ合いながら“熱い青春”を過ごせたら嬉しいですね。
@Yu Adachi:「創業50周年を迎える大企業の店舗ビジネスを、自分たちの手で変えていける」。こんなチャンスはなかなかないと思います。変革に向けた足場はまさに整ったところで、自ら考え、変化を起こしていきたい方にとっては、入るなら“今”が非常に良いタイミングです。以前は変革に向けた基盤や役割が十分に整っていない部分もありましたが、今は土台ができ、実際に動き出しています。大企業でありながら、変革の初期フェーズに携われる機会はそう多くありません。
今のスギ薬局には大きな伸び代があり、それを動かすためのリソースも揃っています。店舗ビジネスだからこそ、自分たちがつくったサービスをお客様が店頭で実際に使っている姿を直接見られるのも魅力です。変革のただ中で、前向きに取り組みを進めていける方と一緒に働けたら嬉しいですね。

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